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HDZeroゴーグルのRecord Option/Audio SourceにはMic, Line in, A/V inの選択肢があります。規定値はMicになっています。どうもゴーグルには内蔵マイクロフォンがあるようでDVRには何かしら録音されていますが、ほとんどファンノイズらしきものに埋もれてしまった役に立ちません。そこで外部マイクを取り付けることにしました。

必要なのはTRRSコネクター(4極)で接続されるマイクロフォンです。世の中にはTRSコネクター(3極)のマイクロフォンも沢山ありますので間違えないようにします。

私が用意したのはこのマイクロフォンです。

このマイクを写真のようにヘッドセットマークのあるジャックに接続しました。Audio SourceをLine Inに設定すれば準備完了です。A/V inはアナログモジュールとAV IN 3.5mmコネクターに接続されるようですがコネクターの仕様が違うのでTRRSマイクロフォンは使用できません。3.5mmコネクターのピンアサインはゴーグルのマニュアルに図解されています。

ゴーグルのファンがうるさいですが、十分にモーター音を捉えられるようになりました。

ワンタッチ・クラッシュリカバリー

WTW Kagawa(別名WTW Udon)のオンラインミーティングでレース中にクラッシュリカバリーを素早く行いたいという問いかけに対し、それはモーメンタリースイッチにFLIP OVER AFTER CRASHとARMを同時に割り当てる(ARMに二つのスイッチを当てることになる)と良いよと先輩が答えました。クラッシュしたらディスアーム、モーメンタリースイッチを入れながらスティクを倒してリカバリー、再びアームしてレース継続という流れです。このクラッシュリカバリーとアームを同時に入れられるというのは知らなかった。

これに対して、一度ディスアームするのが面倒であるという意見も出たので方法を考えてみました。

3ポジションスイッチ(AUX3)を使い、それが中間に入った時にディスアームされるというのがミソです。上のモーメンタリースイッチを使う手順の利点は手を離すとディスアームになるという安全性を担保した設定であるということです。それは失われてしまいますのでタイニー専用と考えた方が良いです。

手順としてはクラッシュした時にAUX3を切り替えるとクラッシュリカバリーに入る。この時、本来のアームスイッチであるAUX1はどちらに倒れていても良いです。そのため、アームしたままの状態でAUX3だけを操作することで素早くクラッシュリカバリーしてレースに復帰できます。

このアイデアに対して、3ポジションスイッチで片方が通常アーム、反対側がクラッシュリカバリーというスイッチひとつ構成でも良いじゃないかと言われました。タイニーだしそれでも良いかも知れませんが、飛行中に素早くディスアームしたい時はまごつきそうです。常に落ち着いて3ポジションを中央に戻せる人なら問題なしです。

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ts2mp4 – HDZero DVRのTSファイルをMP4に変換するプログラム」もぜひご覧ください。
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HDZero推奨のTS形式によるDVR録画は試した限りより確実に録画ファイルを残すことが出来るようです。当然、ゴーグルでのPlaybackは問題ありません。ただしPCに取り出した時には使い勝手が悪くなります。その辺りを検証していきます。macOSでの検証ですが、Windowsでもほぼ同じと思います。

今回の事例はHDZeroの60FPSモードのみで有効です。

macOSでのプレビューはできないですし、一般的な動画編集アプリケーションでは動画ファイルとして認識してくれません。そこで何かしらツールを使う必要があります。私が試したのはお馴染みのVLCメディアプレイヤーとコマンドラインツールのffmpegです。

[ VLCメディアプレイヤー ]
動画ならなんでも扱えるVLCはPCに最初に導入すべきアプリケーションと言って良いと思います。もちろん、TSファイルの再生もそのまま普通に行うことが出来ます。
MP4に変換するのも簡単です。ネット上にもVLC以外の変換方法、あるいはVLCでの手順も紹介されていますが、注意すべき点は再エンコードさせないということです。再エンコードは時間がかかりますし、何より画質が劣化する可能性があります。このTSファイルは中身はそのままで器を変えることによりMP4に変換出来ます。以下、その手順です。VLCのバージョンによって画面は異なるかもしれません。

変換のためのメニューを開きます。


カプセルとしてMP4を選択。


再エンコードしないので「オリジナルのビデオトラックを保持」を選択。


「オリジナルのオーディオトラックを保持」を選択。


適当な名前で新しいプロファイルとして保管します。


変換したいファイルを選び、作成したプロファイルを選択、「名前を付けて保存」を押す。


変換後のパス名を指定して保存。

私のVLCでは複数ファイルの一括変換が出来ませんでしたが、もしかするとWindowsなどでは一括処理が可能かもしれません。

出来上がったファイルは相変わらずmacOSではプレビュー出来ませんが、DaVinci Resolveでは正しく映像ファイルとして認識されます。

[ ffmpeg ]
コマンドラインツールのffmpegは最強の動画関連ツールです。導入の仕方は、ここでは説明しません(macOS向けの手順は複数あって、どの方法で導入したか忘れました)。

出来ることがあまりに多いし、もとより動画ファイルのフォーマットに関する専門的な知識が足りないのでコマンドの前葉を理解することは出来ません。そこで私はもっばら使用事例を探しては自分の用途に適用することに徹しています。今回も複数の事例の組み合わせです。

TSファイルの再生はffplayというコマンドで行います。単純にファイル名をパラメーターとして渡せば再生されます。再生中にはショートカットキーで操作できます。

変換にはffmpegコマンドを使用します。
ffmpeg -i hdz_146.ts -vcodec copy -tag:v hvc1 -acodec copy hdz_146.mp4
見ての通りでhdz_146.tsというファイルをmp4に変換する例です。’-tag:v hvc1’を指定するとVLCの時とは違いmacOSでmacOSでプレビュー出来るmp4ファイルにすることが出来ます。またこのオプションはHEVC(H.265)だけに有効です。

その他にffprobeというコマンドが動画ファイルの属性を見ることが出来るので解析するのに便利です。

まだ作ってはいませんがファイル名の入力を楽にしたり一括変換するスクリプトも簡単に出来そうです。
-> 作りました。https://www.nkozawa.com/blog/archives/7677

[ 結論 ]
DVRファイルを利用する際にはマイクロSDからPCにコピーすることが多いわけですし、そのコピーの代わりにマイクロSD上のTSファイルを変換しつつPCのSSD/HDD上に保管する手順を確立すれば、まあまあ良い使い勝手になると思います。ということで私はHDZeroが推奨するままにTSフォーマットを使用することにします。

HDZero DVR – MP4編

HDZeroゴーグルのDVRには録画形式としてMP4とTSフォーマットの二つの選択肢があります。

ゴーグルのマニュアルにはMP4は壊れるからTS推奨とあります。そうは言ってもTSファイルはDaVinci Resolveで認識されないし、なんとかMP4形式を使ってみたいと思うので色々と試してみました。

MP4ファイルが壊れるのはGoProなどでもお馴染みの現象で、主に映像ファイルとして正しく閉じる前に電源を落としてしまった時に発生します。ゴーグルのマニュアルにも同様の記述があり、MP4ファイルを壊さないための手順も書かれています。
– Auto record mode(自動録画モード、VTXの電波を受信すると録画を開始し電波がなくなると停止するモード):
> ゴーグル左のボタンを長押ししてメニューを表示してからゴーグルの電源を落とす。もしくは、
> ドローンの電源を切り、10秒待ってからゴーグルの電源を落とす。
– Manual record mode(ゴーグルの右ボタンで録画の開始、停止を行うモード): 録画を停止してからゴーグルの電源を落とす。

常識的な対策ですし難しくはなさそうです。わざとルール無視することも含め何度か録画をしてみました。一連のテストでは、思い通りの結果が得られました。わざと壊れるような操作をしたMP4ファイルもVLCでは再生可能だったので修復して使用することは出来そうでしたしゴーグルでのPlayBackも可能でした。不可解なことにひとつだけTSファイルも出来あがっていました(githubにバグレポートあり)。

まあ、なんとか使えそうな気もします。ただ、油断してなんかの拍子に使えないMP4ファイルを量産してしまいそうでもあります。

日本では使用しないので問題はありませんがカメラを90FPSモードにすると、そのままでは使用出来ないMP4ファイルが出来上がってしまいました。PlaybackやVLCでは再生できますがDaVinci Resolveは動画として認識してくれませんでした。色々と弄ってみましたが、調べた限りでは時間をかけて再エンコードしないとDaVinci Resolveには読み込めませんでした。

YouTubeに90FPSモードのレビューがあり、そこの概要欄にDVRファイルがあります。そのファイルは問題がないのでどこかのファームウェアレベルでおかしくなった可能性があります。

おそらく突然電源オフにした時だと思いますが全く使えないMP4ファイルになったケースもありました。

HDZeroの推奨ですし、次回はTSファイルの検証を行います。

HDZeroをアマチュア無線対応の17MHz帯域幅に設定する

HDZeroをアマチュア無線として開局するためには帯域幅を17MHzにする必要があります。その設定手順の覚え書きです。

まずはカメラの解像度を540P@60に変更しSAVE&EXITを実行します。現在のところ、この設定が使用できるカメラはRunCam Nano 90だけです。カメラメニューの出し方は前記事を参照ください。

ゴーグルをNarrow BWに変更するようメッセージが表示されます。OKを実行すると実際にモードが変わり、VTXとゴーグルの帯域幅が合わなくなり画面が乱れます。

ゴーグルのメニューを開きSourceの中でHDZero BWをWideからNarrowに変更します。

気になる画質ですが一般的なアナログVTXよりは良いと思います。以前、飛ばしていた初代DJI Digital FPV Systemを初めて飛ばした時のような感動は得られませんでしたが、致し方なし。

HDZeroのハードウェア設定が完了すれば、なんとか飛ばせます。OSDの設定はフォントの設定を除けばアナログと変わりませんしVTXのチャネル変更も従来の知識でなんとかなります。HDZeroゴーグルのメニュー体系も操作もわかりやすく出来ています。ということでマニュアルを読まなくともなんとか飛べるようにはなります。しかしながらVTX側の操作は完全には出来ていません。

このVTX側の設定変更はDJIなどのデジタルFPVシステムとは違いゴーグルのメニューからは出来ません(DJIはゴーグルとVTXで双方向通信を行なっているがHDZeroはアナログVTXと同様にVTXからしか電波を発信していない)。そのための操作はスティックコマンドでFCを経由して行います。HDZero VTXマニュアルに詳細が記述されています。

HDZero VTXマニュアルからの抜粋

二番目はお馴染みのBetaflight Menuです。一番上のVTX Menuと三番目のFor HDZero Cameras(Camera Menu)を覚えておく必要があります。
一番下の出力を0mWにする操作も何かの時には役に立つかもしれないので練習しておくと良いです。

VTX Menuでは周波数や出力の変更が行えます。またVTXファームウェアレベルもここで確認できます。

Camera Menuはカメラの明るさ、色合いなどカメラ固有の設定を行えます。カメラ解像度の設定もここで行います。

HDZero VTXの結線と構成

Betaflight 4.4を前提に簡単にHDZERO VTXの結線と最低限必要なBetaflightの構成を書いておきます。

[ 結線 ]

写真はケースを外したHDZero Whoop Liteです。FCに接続するためのパッドが5つあります。G (GND), V (Voltage), R (RX), T(TX), SA (SamrtAudio)です。隣のコネクターはファームウェア更新のための物です。Freestyle VTXなどでは半田付パッドではなくコネクターになっていますが、内容的には同じです。

現在、SAは使用せず電源とRX,TXを接続します。電源は一般的にはVBATを使用します。RX,TXはELRS受信機と同じくVTXのRXをFCの任意のTXへ、VTXのTXはFCのRXに接続します。

[ ポート構成 ]

該当のUARTポートにMSP, VTX(MSP+ディスプレイポート)を設定します。 この構成でOSD(HD)とFCからのVTX操作が使用出来るようになります。

[ VTXテーブル ]
HDZEROのダウンロードページにVTX Tableがあります。中身はjsonファイルです、該当のものをBetaflight ConfiguratorのVTXページで読み込みます。E1(5705MHz)とF1(5740MHz)は自分で追加する必要があります。

と、書きましたが、VTXのSAを使用する構成でない限り手動でのVTX table入力は必要がない気がします。もしこれから設定される場合は上のポート設定だけで進めてみてください。おそらく問題ないと思います。

[ プリセットの使用 ]
Xでご指摘をいただきBetaflight 4.4のプリセットを調べてみるとHDZero VTXのプリセットがありました。Betaflight公式ではありませんがよく出来ているようです。私自身はまだ実際に試してはいませんが、CLIを表示してみる限り問題ないと思います(E1,F1は含まれていません)。カテゴリーVTXかキーワード’HDZERO’で見つかります。

[ HDZEROゴーグルのファームウェア更新 ]
私はどこかのビデオで予め知っていたので大丈夫でしたが、間違えるとゴーグルが文鎮化(機能しなくなる)ことがあります。注意点は単純です。
HDZEROダウンロードからファームウェア(Rev_ddmmyyyy.zip)ファイルをダウンロードして解凍するとHDZEROGOGGLEから始まるzipファイルが入っているので、それをさらに解凍します。すると複数のファイルが含まれています。

この中で必要なファイルはHDZERO_GOGGLEから始まるbinファイルひとつだけだということです。通常の更新では他のファイルは全く使用しません。ここを間違えると文鎮化の可能性があります。

HDZERO_GOGGLEから始まるbinファイルをマイクロSDカード(FAT32フォーマット、DVR録画と兼用可)のルートにコピーしてゴーグルに入れてゴーグルのFirmwareメニューからUpdate Goggleを実行後に電源を再投入すれば完了です。

文鎮化しても回復は可能だそうです。

[ VTXのファームウェア更新 ]
ファームウェアのファイルに各VTXのファームウェアファイルが同梱されていますので、目的の物を解凍します。ただし私のmacOS SonomaではFinderでダブルクリックするとエラーを表示して解凍できませんでした。

AppStorからUnzipアプリケーションを導入するかコマンドラインのunzipを使用する必要があります。
解凍したHDZERO_TX.binはマイクロSDカードのルートにコピーします。VTXの種類に関わらずファイル名が同じですので、複数種類のVTXを持っている場合は自己管理が必要です。

VTXとゴーグルを専用のケーブルで接続します。ファームウェア更新に必要な電源はゴーグルから供給されるのでVTXには他の結線は必要ありません。箱出しの状態でファームウェアの更新が行えます。Whoop VTXはコネクター形状の違いからファームウェア更新用のケーブルを二つ接続する必要があります。

ゴーグルの時と同じ要領でUpdate VTXで更新を行います。これは一瞬で完了します。VTXの現在のファームウェアレベルはFCに接続してスティクコマンドでVTXメニューを表示させると分かります。

なんかマッドさんのXの引用だけで成り立っている記事になってしまいました、マッドさんありがとうございます。

HDZERO、デジタルFPVの夜明け

世界ではFPV画像転送のデジタル化が進んでいますが、DJIの一部製品を除き日本で使用できるものはありませんでした。

この夏、日本でもやっとアマチュア無線として開局可能なデジタルFPVシステムが出てきました。HDZEROはオープンソースでハードウェア構成も公開されているので、アマチュア無線局として開局出来る可能性が以前から論じられていました。唯一のネックはチャネルの帯域幅が27MHzもあるということでした。現在、アマチュア無線で許されているのは帯域幅17MHzです。HDZEROの構成にナローバンドが追加されて17MHz帯域幅で使用することがやっと出来るようになりました。ファームウェアRev 22082023以降でサポートされます。

現在のまとめは、この下の方に書かれています。

ここに書かれているとおりで、カメラの設定を540P60FPSに設定しゴーグルの帯域幅設定をNarrowにすると17MHzになります。この540P60FPSが使えるカメラは現在のところNano 90というものだけです。

使えるチャネルは最初F4(5800MHz)だけでしたが、日本のためだけにE1とF1も追加されました。ファームウェアRev 13112023よりサポート。この日本対応の経緯についてはマッド ⌘MADさんのXを読んでみると興味深いことが語られています。

開局に必要に資料は井上さんが公開されています。


私も井上さんの資料を利用させていただき、無事にアマチュア無線局の変更申請の審査が通りました。

HDZEROゴーグルのリアルタイムクロックはバッテリーが付属していないので機能しません。日時が正しくなくてもゴーグルとしての動作には全く問題は無いので特にバッテリーを必要とはしていません。DVRの録画ファイルのタイムスタンプを正しく記録したい人のみこの作業が必要となります。

[ バッテリー ]
用意するバッテリーはHDZEROのマニュアルによると”CR2032 laptop battery with MX1.25-2P male connector”とあります。私はアマゾンで、

これを購入しました。この商品は問題ありませんでしたが、似たような商品で同じコネクターを使用していて極性が逆になっているものもあるようですので要注意です。

[ ゴーグルの分解とバッテリーの装着 ]
分解の詳細は以下の動画がわかりやすいです。

フェースプレートを外し、下側から3本のネジを外すと後はプラスチックの爪を壊さないようにこじ開けます。下のようなプラスチックの道具あるとやりやすいです。ギターのピックでも大丈夫です。ディスプレーに行くフラットケーブルに注意してください。

蓋が開けば、写真の左側の方にあるコネクターにバッテリーを繋ぐだけです。バッテリーとケーブルをディスプレーのフラットケーブルに干渉しないようにします。

再度組み立て、ゴーグルのメニューから時刻を設定すれば完成です。