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betaflightがバッテリーセル数を間違えた時の設定

betaflightはバッテリーのセル数を供給電圧から推測しています。平均セル電圧は、その推測値を元に計算されます。

経験上間違ったセル数が表示されるのはHVでかつ2S以上のバッテリーを使用した時だけです。これは設定で直せます。

1セルあたりの最大電圧という項目の規定値は4.2Vになっていますので、これをHVに合わせて4.35Vなどと設定すれば正しいセル数が推測されるようになります。ちなみにbetaflightは以下の計算式でセル数を算出しています。

unsigned cells = (voltageMeter.displayFiltered / batteryConfig()->vbatmaxcellvoltage) + 1;

ということで正しく設定すれば、ほとんどの場合は問題ありません。それでもあくまでセル数は推測値でしかないので特別なケースには間違いも生じるかも知れません(リチウムイオン電池のように低電圧でも使用できるバッテリーを電圧が下がってから再接続した場合など)。あるいはセル数の違う電池なんか使わないので決め打ちしておきたいという場合には以下のCLIコマンドで自分の指定のセル数を教えておくことが出来ます。

# get force_battery_cell_count
force_battery_cell_count = 0
Allowed range: 0 - 24
set force_battery_cell_count = 4

この例ではセル数を4に設定しています。0が規定値でセル数の推測が行われます。

GTAV + Quadcopter-Reduxが楽しい

Grand Theft Auto Vというオープンワールドなゲーム内でmodを利用してFPVドローンで自由に飛び回ることが出来ることはだいぶ以前から知ってはいましたが、いろいろと壁があり挑戦していませんでした。

Quadcopter-Reduxという最近出てきたmodがとても調子が良いという話しと格安なN100搭載mini PCでもなんとか動かせるということをjizoameさんのツイートで知り試してみることにしました。

導入手順はJizomaeさんのブログQuadcopter-Reduxの説明を読めばよくわかります。ここでは、ほんの補足的な事柄だけを書いておきます。

[ 動作環境 ]
PCは先にも書いた通り格安なN100 mini PCです。500GBのSSDを増設して、そこに導入しました。コントローラーはRadioMaster TX16SをUSB接続で使用しています。ゲームの導入フォルダーはD:\Steam\steamapps\common\Grand Theft Auto Vでした。

[ 画面解像度 ]
解像度は800×600のWindowでなんとか快適に動きました。1920×1080なディスプレイなので、そのままだと小さなウインドウになってしまいます。それでも十分に飛べますが、GTAV起動前に画面解像度を800×600にしておくと大きな画面で楽しめます。

[ ストーリー ]
プロローグは終了させておけとのことでしたので、強盗を働いて警官をたくさん抹殺してなんとか逃げました。それでもゲームを始めるたびに車を盗んで走らなければなりません。このミッションがスキップ出来るまでなかなか時間がかかり、自由に飛び回れません。
何か方法はないものかとQuadcopter-ReduxのReadmeを読んでいたらゲームのセーブデータをダウンロードしてくれば良いことが分かりました。ダウンロードしたファイルはrarで圧縮されているのでわたしは7zipを使って展開しました。SGTA5001というファイルをREADMEに従いDocuments/Rockstar Games/GTA V/Profiles/?????/以下にコピーすればOKです。

Insta360 GO 3をFPVドローンで使う

Insta360 GO 3のカメラ本体は小型でFPVドローンに搭載するのに適しています。ただし初代Insta360 GOに比べるとだいぶ大きくなり、重量も35gほどあり超小型のドローンには少々重くなっています。
そこで試しに100g未満の2S FPV機に載せて飛ばしてみました。重さは感じますが、慣れてしまえば軽いアクロバティクな動作も可能でした。ということで、GO 3をFPV機に載せて撮影する時のわたしの設定や気がついた事柄をつらつらと書いておきます。

[ ビデオモード ]
動画の撮影には二つのモードがあります。撮影時に縦横比やスタビライズの掛け方を決めておく「動画」、撮って出しが可能な簡便な撮影モードです。もうひとつは「FreeFrame動画」で初代GOからある縦横比もスタビライズも後から携帯電話アプリもしくはPC上のアプリで決定を行うモードです。これはカメラのセンサーをフルに活用し真四角くかつ丸い動画を記録します。四角で丸いという意味は下の写真をご覧ください。これをアプリケーションで加工します。最近の流行りの縦長動画も後から作れます。またスタビライズは同時に記録されているジャイロデータを使用します。スタビライズの掛け方も後から選択できます。
FPVドローンではFreeFrame一択とわたしは考えます。

[ 録画可能時間の謎 ]
わたしのGO 3は64GBモデルです。これで実際のところどれくらいの動画が撮影できるのかが気になるところです。本体のプレビュー画面の左上に残り時間らしきものが表示されています。そこにはFreeFrame動画の場合は1h37mと出ています。FreeFrame動画もプレビュー画面で縦横比、解像度、フレーム数を選択することが出来ます。ところがどの設定を選んでも残り時間が変わりません。そこで実験です。

[ FreeFrame動画の実験 ]
まずは1440P/50FPSにして実際に録画をしてみたところ1時間35分ほど録画出来ました。表示されていた残り時間は正しいようです。次に各設定で録画したデータの検証です。結論から言うと、どの設定にしてもビットレートは約80Mb/sと変わりませんでした。つまりストレージの消費は設定に関わらず同じですので残り時間が同じになるのは当然です。

もう少し掘り下げてみます。画面上の選択肢は三種類あります。縦横比が16:9と9:16です。これはプレビュー表示の変更だけであることは容易に想像出来ました。解像度は1440Pと1080Pが選択できますが、実際に録画されたデータを検証するとどちらも2688×2688の動画になっています。動画を再生してみても差があるように思えません。もしかすると将来的には差が出るような計画なのかもしれません。フレームレートは50, 30, 25, 24が選べます。これは正しく録画されたデータに反映されていました。ただしビットレートはどれも同じです。画質に差が出ているかテストしてみましたが、ほとんど同じに見えます。1440P 50FPSがやや荒いようにも感じますが、ほぼ気のせいレベルです。静止した対象物でのテストしか行っていませんので、動きがある場合は何か違う可能性もあります。とりあえずは好みのフレームレートを選択すれば良いと思います。もしかするとこれも将来のファームウェア更新で変わってくるのかもしれません。

[ ISO/シャッタースピード/WB ]
お手軽撮影が売りのInsta360 GOシリーズですし、ISO, シャッタースピード, ホワイトバランスを自動で撮影しました。私的には概ね問題無しです。

木陰を通り過ぎる時にじわっと画面の明るさが変化しています。GoPro Hero6で同じことをすると急激にかくっと感度が変化してしまうと思います。それを経験して以来、GoProではISO固定で使用していますので、最近のモデルで何か変わったかどうかはわかりません。

じわっとした感度変化も嫌う場合はISO, シャッタースピードを手動設定するしかありません。プレビューが簡単に出来るので手動でも失敗がないのは大きな利点です。

[ スタビライズ ]
Gyroflowを使用しています。同期ポイントの手動設定は必要ありません。FOVやスタビライズの強さなど自由に変更出来るのが魅力ですが、規定値のままで問題無しです。画面の補正はリニアな感じになります。縦長の動画やワイドレンズっぽい湾曲した画面が欲しい時にはInsta360 Studioを使用すると良いでしょう。

[ カラー・プロファイル ]
シーンに合わせた多彩なフィルターが用意されていますが、わたしはFlatを使用しています。これは画像編集ソフトで色の調整が必要になります。どのLUTを使うべきか情報が見当たりませんがCaddx Peanutと同様にInsta360 X2用のLUT、ONE-X2-LUTを適用すると良い感じにノーマライズされます。X3-LUTでも良いかもしれません。X2用もX3用も、どちらもほぼ同じに見えます。

LUTファイルはInsta360のダウンロードページにあります。

[ アクションポッド ]

液晶の付いたポッドは特別なことをしなくても常にカメラ本体と接続されています。ドローンを離陸位置にセットしてからポッドでプレビューを確認し録画をスタートする。また着陸したらポッドから録画を停止する。という使い方が出来ます。FPVドローンの使用シーンにおいて完璧なリモコン装置です。

[ 風切り音 ]
動画の中にプロペラ音を取り込むのが好きなので録音機能が搭載されているのはとてもありがたいです。
音声設定は3通りあります。「風切り音低減」「ステレオ」「方向性強調」です。「風切り音低減」を使用したところ、今まで試したどんなHDカムより優秀でした。ほぼ風切り音のない動画が出来上がりました。

[ NDフィルター ]
購入時にはレンズ保護のための透明なフィルターが装着されています。まだ公式なNDフィルターは発表されていないと思います。サイズ的にはCaddx Peanut用のNDフィルターが装着可能でした。ただし、このNDフィルターは色温度が変わってしまうことが分かっています。当面、NDフィルターは使用せずに撮影することにします。

[ マウント ]

Insta360 GO 3マウント(GoPro互換)

Insta360 GO 3マウント(RunCam Thumb Pro共通)

Insta360 GO 3のマウント作成、GoPro互換マウント編

GoPro互換マウントを搭載したFPVドローンにInsta360 GO 3を載せるべくマウントを作成しました。

STLファイルはThingiverseにて公開しています。
https://www.thingiverse.com/thing:6125159

またマウントの販売も行なっています。
https://dskozak.stores.jp/items/64b4f64502b7ef003222cdb5

Insta360 GO 3のマウント作成

Insta360 GO 3をsub100なドローンに載せるべくマウントを作成しました。RunCam Thumb Proのマウントと互換性を持たせて現在RunCam Thumb Proを載せているドローンにそのまま搭載できるようにしました。

やや重いですが、何とか飛べます。リカバリー失敗して接地したりもしましたが、アクロバティックな飛び方も出来ました。

この動画は3SなGG BONE FIVE F/Sですが2Sで飛ばしているTinyAPEでも同様に飛ばせました。実はかなりダメダメなフライトでしたがスタビライズでスムースになりました。

Insta360 GO 3をFPVで使ってみた感想をいくつか書いておきます。
– 初代と同じく後から縦横比やスタビライズの掛け方を変更できるようにするためにはFreeFrame動画で撮影する。FPVにはFreeFrameが適しています。これだとGyroflowも使えます。
– GO3本体のボタンにFreeFrame動画を割り当てましたがポッド(液晶の付いた部分)とは常に接続されているのでドローンを地面に置いたあとにポッドからプレビュー画面を確認の上でポッドから録画スタートする方が便利だと思いました。
– 64GBモデルでバッテリー4本飛ばしてストレージ使用量20%でした。十分とは言えますが、128GBにしておけば良かったかなと少し思います。

マウントのSTLファイルはThingiverseにて公開しています。
https://www.thingiverse.com/thing:6123410

またマウントの販売も行なっています。
https://dskozak.stores.jp/items/64b21ef5e29535006d3865bd

2020年に剥きプロとInsta360GOが登場し小さいFPV機にも録画用のカメラを載せることが普通になりました。それ以来、わたしのFPVドローンには何かしらカメラを搭載しています。マウントは既製品がほとんど存在せず3Dプリンターで部品を作ってきました。ドローンに付属しているマウント部品があれば、それに合わせてカメラ側のマウントを作るし、カメラに良いマウントが付いていればそちらに合わせたてドローン側を作ります。問題は互換性のないマウントを複数持つことになり、カメラを別のドローンと入れ替えることが簡単ではないことです。

大きいものならばGoProマウントというディファクトスタンダードがあります。小型機用も独自にマウントを共通化したいという思いはいつも頭のどこかにありました。

最近RunCam Thumb Proを活用することが増えてきて、その付属マウントがちょうど良い大きさで作られていることが分かりました。RunCamのサイトには図面もありますし、これを活用することにしました。

[ 継ぎ手部分のモデル ]
 

STEPファイル
機体ベースのSTLファイル
カメラ側のSTLファイル
RunCamの図面は余裕が考慮されていないので少し隙間を与えています。PLAで出力して軽く噛み合わせることが出来ます。

とりあえず成果物は二つあります。

[ RunCam Thumb ]

STLファイルはThingiversにあります。
https://www.thingiverse.com/thing:6074400
出力品の販売もあります。
https://dskozak.stores.jp/items/6486d2ef7e9540002bfca556

[ Caddx Peanut ]

STLファイルはThingiversにあります。
https://www.thingiverse.com/thing:5012350
出力品の販売もあります。
https://dskozak.stores.jp/items/648aba1183d26a002e8d3ef6

どちらも過去に紹介したRunCam Thumb Pro用のマウントを搭載した機体にそのまま搭載できます(電源ケーブルは別の話しになりますけど)。
TinyApe用RunCam Thumb Proマウントの作成
GG BONE FIVE F/S用のRunCam Thumb Proマウントの作成

信奉するChris RosserさんのビデオBetaflight 4.4 Tuning Guide + Tips and Tricks for the BEST tune!で室内でもPIDチューニングが可能であることが紹介されていました。最近の小型AIO FCにはブラックボックスが搭載されるようにもなりましたし、室内機でも本格的なPIDチューニングを試してみるしかないです。

手順についてはChris Rosserさんのビデオを見ていただくのが間違いが無くてよいのですが、実際にわたしが試したチューニングの様子を紹介します。

チューニングを行ったのはSub250 Whoopfly16です。75サイズの1Sドローンで屋外でも軽快に飛行できます。

チューニングはPIDtoolboxを使用してブラックボックスログを確認して行います。

[ RPMフィルター設定 ]
 
双方向DSHOTを使用しRPMフィルターを有効にしておきます。モーター極数の設定も忘れずに変更しておきます。ざっくり言うと小型モーターは12, 大きいのは14ですが、実際にモーターベルに付いている磁石の数を数えるのが確実です。

[ RC_LINKプリセット ]

RC Linkに合わせたプリセットを適用します。これによってRCスムージングとFFが適切な値にセットされるはずです。

[ ブラックボックスの設定 ]
ブラックボックスログレートを2KHz, デバックモードにGYRO_SCALEDを指定しておきます。

[ フィルターの設定 ]

RPMフィルターを使用した場合のChris Rosserさんのオススメにしました。Betaflightの規定値よりだいぶ軽くなっています。ジャイロの静的フィルターは使わずRPMフィルターと動的ノッチフィルターだけを使用します。D値ローパスフィルター1は画面のように変更します。周波数は機体サイズによって変わります。詳細は最初に紹介したビデオの12:28にあります。D値フィルターはこのひとつだけです。
フィルターは効果さえあれば軽い方が良いです。余談ですが軽いというのはプロセッサー負荷よりもジャイロデータのフィルターによる遅延の少なさという意味合いが大きいです。軽くするためにはフィルターの種類を少なく、かつカットオフ周波数を可能な限り高くすることが必要です。

[ ジャイロノイズの確認 ]
ジャイロノイズを確認するためのテスト飛行はスロットルを滑らかに最小から最大まで動かし様々なモーター回転値でのデータを取得するのが理想です。屋外ならば100%スロットルまで試します。室内テストではなかなか最大値は難しいので可能な範囲でスロットルを動かします。
取得したブラックボックスログをPIDtoolbox/Spectral Analyzer/Freq x Throttleで解析します。

左からフィルター前のジャイロ値、フィルター後のジャイロ値、D値のフィルター前と後です。一番左のグラフの取得にはブラックボックスデバッグモードのGYRO_SCALEDが必要です。ジャイロの下の方で光っている部分は実際の機体の姿勢を表す真のジャイロデータです。100Hzより上に現れるデータはノイズと考えて良いです(クラッシュした時は別ですけど)。フィルター前のジャイロデータで右上がりの濃いデータがあります。これはモーターからくる振動です。横軸のスロットル位置、すなわちモーターの回転数に比例してノイズの周波数が上がっていることを示します。これを効果的に取り除くのがRPMフィルターです。
このグラフを見る限りフィルターはうまく働いているようです。D値の方は詳しくありませんが、 他の機体のデータと比較しても悪く無い方と思います、機体の固有振動などがあるとスロットル位置に関係なく一定の周波数のノイズが現れることがあるかもしれません、その場合は静的ノッチフィルターで対処する必要があります。

テスト飛行後に念の為、モーターが加熱していないかどうかも確認しておきます。

[ PIDチューニング ]
いよいよPIDチューニングです。室内でアングルモードで行います。PID値の変更はスライダーで行います。Betaflight ConfiguratorでもOSDメニューでもどちらでも調整出来ます。まず最初にI強度を0にします。もしアクロモードでチューニングを行う場合はFF値も0にします。

まずは現状の確認です。なるべく色々とスティックを動かし20秒ほど飛行します。ブラックボックスデータを所得しPIDtoolbox/Step Resp Toolで解析します。

このままでも普通に飛ばせそうにも思えますが、ややオーバーシュートして、その後に波打っているのを直していきます。

最初に見出すのはPDバランスです。調整するスライダーはP&I強度です。実際のところD値を固定してP値を探る作業になります。現状ではオーバーシュート気味なのでP値を小さくする方向で素直に収束するところを見つけます。P&I強度を徐々に下げて行って取得したデータをひとつのグラフで表現しました。

本来は1に収束するはずですが、1より少し大きいところで収束しているのは謎ですが、軌跡の形状だけで判断してみます。なかなか微妙ですが水色(RollのP値が22のもの)が一番理想に近いように見えます。これはP&I強度が0.5のものです。

次に基準値倍率設定の最適値を探ります。上の設定でP値がだいぶ小さくなったのでレスポンスがかなり遅くなっています。倍率設定でPDバランスを変えることなく両方の値を変更出来ます。軌跡が乱れることなく素早く立ち上がるように設定します。目安としては規定値のPに近くなるところが良いのではないかと思います。

赤が基準値倍率を2.0にしたものです。YAWをみるとちょっと強めすぎにも思えますが、このまま進めます。もし基準値倍率が2.0では足りない場合の調整方法についてはビデオの23:31からご覧ください。

I値(アクロの場合はFF値も)を元に戻して最終確認です。

3軸ともなかなか良い感じになりました。ややオーバーシュートしてすぐに安定しているのが良い設定と思います。

PIDスライダーの最終的な状態は以下の通りです。

[ 動的アイドル値の設定 ]
Chris Rosserを信用して1.6インチでのおすすめ値の94を設定しました。28:41に解説があります。ここで各プロペラサイズと推奨値が書かれています。1.2インチについては推奨値がありません。室内飛行では必要ないからかもしれません。もし設定するとすれば1.6インチと同じにしておけば良いのではないかと思います。

以上でチューニングは完了です。正直なところわたしの飛ばし方ではチューニング前と後で変化を感じることはありませんでした。

以前、紹介したPIDtoolboxの使用方法と基本的には変わりませんが新しいバージョンでの手順を説明しておきます。macOSでの例ですがWindowsでも概ね同じだと思います。

導入方法は、https://www.nkozawa.com/blog/archives/7160に書いてあります。

[ ログの取得 ]
Blackboxログを取得する際にはBlacboxデバッグモードにGYRO_SCALEDを指定しGYROのフィルター前のデータを取得するようにします。また、レートは1KHz2KHzがお勧めだそうです。

[ PIDtoolboxデータ読み込み ]
macOSにおいて古いバージョンではPIDtoolboxが存在するフォルダーにログをコピーしてから読み込みを行なっていましたが、最近のバージョンでは任意の場所にあるログを読み込めるようになりました。内部的にPIDtoolboxと同じ場所に一時的にログファイルをコピーするようになったので、ここにログファイルを置いておくことは出来なくなりました。
ファイルの読み込み方法は以前と同じで右上にあるSelectボタンで行います。ファイルダイアログが開くので目的のログファイルを選びます。もし複数のフライトが記録されている場合には次のウインドウが開くので目的のフライトを選択します。

[ トリム ]
ログが読み込まれるとグラフが表れます。グラフの最初と最後は少しだけグレーアウトされています。これは安定した飛行をしている部分のみを解析対象とするためです。その範囲を変更したいこともあります。その場合、右側にある’Trim ON’を使います。これをオンにすると十字のカーソルが現れますので、最初にログ解析開始位置、次に終了位置を指定します。

PIDtoolboxには沢山の機能がありますが、わたしは二つの機能しか使用していません。それらについて紹介していきます。

[ スペクトログラム ]
ジャイロノイズの様子やフィルターの効き具合を確認します。
– 最初の画面で’Spectral Analyzer’ボタンを押します。
– ‘Spectral Analyzer’ウインドウが開くので右側中央あたりの’Freq x Throttle’ボタンを押します。
– さらに新しいウインドウが開いたら右上の’Run’ボタンを押します。

同様のグラフはBlackbox Explorerでも得られますが、必要なデータが一度に得られるのでPIDtoolboxが使いやすいです。

10個のグラフが表示されています。それぞれ縦軸が周波数、横軸がスロットルポジションとなっています。このデータは室内飛行で取得したものなのでスロットルが65%くらいまでしかあげられませんでした。屋外でこのデータを取得する場合、スロットルをなるべくゆっくりと100%まで上げると良いデータが収集出来ると思います。
グラフの種類は規定値で左からジャイロのフィルター前(このデータの取得にはGYRO_SCALEDの指定が必要)、フィルター後のジャイロデータ、DTERMのフィルター前、フィルター後になります。

100Hz以下に多くのデータがあります。これは実際の機体の動きを表すジャイロデータです。この部分がフィルターによって失われてはいけません(起こり得ませんが)。100Hz近辺から上の周波数は機体の制御に必要では無いノイズということになります。左端のグラフで右肩上がりに濃い色が現れているのはスロットルポジションに合わせて(モーターの回転数に比例して)周波数が上がっていくノイズです。これがRPMフィルターのターゲットになります。他には目立ったノイズは見当たりませんのでRPMフィルターさえあれば他のフィルターは必要がなさそうです。

DTERMノイズについては語るほどの知識はありません。だいたいこんな感じならば良いのではないかと思います。

[ ステップレスポンス ]
フィルターの設定が決まったら、いよいよPIDチューニングです。
– 最初のウインドウで’Step Resp Tool’ボタンを押します。
– 新しいウインドウが開くので’Run’ボタンを押すと結果が表示されます。

このグラフはスティックの動きに実際の機体の動きがどれくらい追従しているかを表します。フライト全体で3軸それぞれについてsetpointとgyroのデータを処理してグラフを作ってくれているのでとてもわかりやすいです。Blackbox Explorerで見ようとするとフライト全体ではなく、飛行中の個々の動きにおいてsetpointとgyroのデータを眺めて判断しないといけないので時間がかかります。

理想的な動きはなるべく速くかつスムースに1に収束することです。このグラフが波打っている時には実際に機体も振動するような動きになっています。また立ち上がりがゆっくりすぎるとスティクに対する反応が鈍い機体ということになります。ざっくり言うとPDバランスにより滑らかに振動することなく1に収束させ、さらにPD双方の強さで反応を速くするという感じです。具体的な調整事例については別途書きたいと思います。

メインの画面で複数のログを読み込むことにより、複数のログデータをプロットすることも出来ます。

PID値も表示されるので、調整によりどう変わったのかが一目でわかります。

PIDToolBoxの最新版は以前と随分と変わりましたので、私のmacOS Venturaでの実際の導入例を紹介いたします。

以前と比べると随分と素直になりましたが、特にmacOSでは起動するまでに色々と手順を押さえておかねばならないことがあります。

[ 準備 ]
https://github.com/bw1129/PIDtoolboxのReleaseのリンクから最新版をダウンロードします。この記事を執筆している時点ではv0.62でした。
– ダウンロードしたzipファイルを使いやすい場所に展開します。展開した場所がプログラムの実行場所であり、ログの一時置き場としても使われます。わたしはデスクトップにPIDtoolbox_v0.62_osxというフォルダーのまま展開して使用することにしました。
– README_PLEASE.txtというファイルがあります。この中に導入手順が書かれています。英語ですがdeeplで翻訳すると完璧な日本語になるので、それに従えば大丈夫です。ここでは画面のコピーも交えて重要なところを説明していきます。

[ MATLAB導入 ]
– MyAppInstaller_webを起動します。これでMATLABというツールを導入します。同時にアプリケーションフォルダーにpidtoolbox.comというフォルダーが作られ、アプリケーションメニューからPIDToolboxが起動できるようになりますが使用しない方が良いようです。これは消してしまった方が良いと思います。
– Macあるあるですが署名されていないプログラムはダブルクリックしても起動しません。
MyAppInstaller_webを右クリックして開くを選択します。

こんなプロンプトが出るので開くをクリックします。
– PIDtoolboxのダウンロードウインドウが表示され、しばらくすると下のようなウインドウが出て管理者パスワードが要求されます。(もしかするともう一度MyAppInstaller_webを起動しないといけないかも知れません)

– あとは画面に従って導入を完了させます。

[ PIDtoolboxの起動 ]
– PIDtoolboxの起動に先立ちblackbox_decodeと必要に応じてblackbox_decode_INAVを起動できるようにしておきます。例によって署名が無いプログラムですので、右クリックで開くを実行し一度起動できればOKです。
– PIDtoolboxはアプリケーションメニューではなく、デスクトップ下にコピーしたものを起動します。これも最初の起動は右クリックで開く必要があります。二度目からはダブルクリックで起動できます。
– 最初に起動すると下のメッセージが表示されます。

次にファイルダイアログが表示されるのでPIDtoolboxのあるmainフォルダーを指定します。この指定は後から’Reset main directory’という機能で変更することも可能です。

[ ログファイルの読み込み ]
Selectボタンでログファイルを読み込みます。古いバージョンの時はmainの下にログファイルを移動させておく必要がありましたが、最新版では任意の場所からログを読むことが出来ます。逆にmainは一時的にログをコピーする場所になりましたので、ここにログファイルを置くことが出来ません。以上でPIDtoolboxが使用できるようになりました。

ログの解析事例についてはまた改めて書きたいと思います。

GG BONE FIVE F/S用のRunCam Thumb Proマウントの作成

GG BONE FIVE F/Sは日本人の手によるU100gフリースタイル・フレームです。堅牢さを持たせてかつ100g以下を実現した素晴らしいフレームです。それにRunCam Thumb Proを載せるマウントを作成しました。

STLファイルはThingiverseで公開しています。
https://www.thingiverse.com/thing:6042204

また3D印刷したものと必要なネジをセットにして販売もしています。
https://dskozak.stores.jp/items/646d5876675488002e030e2d